CGM48 3rdシングル『ジャスミン』(มะลิ)のMVが3月21日に公開され、オリジナル曲であることや北タイの伝統音楽と日本のアイドルポップスが融合したメロディーなどが大いに話題となっています。




 

あわせて注目されているのが、MVに登場するコスチューム。今回はそれらコスチュームについてデザイナーさんらのSNS投稿を引用して解説したいと思います。




選抜コスチューム

 

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DESIGN/DRESSMAKER : @mheeenamm @peckpeckpeck1
CO-DESIGNER : @rina.cgm48official

とあるとおり、選抜コスチュームのデザインは通常のAKB48側ではなく、Santirade Kadchadakumさん(@peckpeckpeck1)とSuprawat Nammuengさん(@mheeenamm)のコンビが担当しました。2人はCGM48のMVのコスチューム・デザインを今までにも多く手掛けています。さらにCO-DESIGNERとして伊豆田莉奈さんの名前も挙がっています。

注目は生地です。アップして見てみましょう。

 

 

チェンマイの南隣ランプーン県特産のタイシルク織物「パートー・ヨックドーク・ランプーン」(ผ้าทอยกดอกลำพูย ランプーン浮紋織布 Google画像検索)の柄でジャスミンの花の紋様があしらわれています。

パートー・ヨックドーク・ランプーンは昔ランプーン領主の親族が技法を地元に広めたのが始まり。模様が浮き出ているのが特徴で、丈夫かつ光沢が美しく精緻な技巧なことから全国的に有名なタイシルク織物です。

 

 

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Santirade Kadchadakumさんが同じデザイン画を投稿したこの文面によると、最初のブリーフィングで「ややフォーマルかつ速いテンポの曲を踊れて、CGM48のコンセプトどおり明るく可愛い」デザインにしてほしいとのリクエストがあったそうです。そこで北タイらしさを出せるパートー・ヨックドーク・ランプーン柄を採用しました。ただし模様は今風に見えるようにディテールを減らして生地にプリントしたものを使っています。




舞踊学校の制服

 

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このデザインもSantirade KadchadakumさんとSuprawat Nammuengさんのコンビが担当。




北部伝統衣装コスチューム

 

タイ人メンバーのこれらコスチュームは、ラマ3~4世期(19世紀)のチェンマイの高貴な女性の服装を参考にしてデザインしたものです。古い写真を見て研究したようです。

 

 

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なおKaningの髪飾りにもこのようにジャスミンの花があしらわれています。

 

タイ伝統衣装コスチュームのメンバーの中で1人異質なのが伊豆田莉奈さんの衣装です。

 

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上半身が日本の着物で下は北タイ女性が履く伝統的巻きスカート「パーシン」(ผ้าซิ่น)という和泰折衷衣装となっています。実はこれはまったくの創作ではなく、タイ人メンバーの衣装同様参考にしたものがあるのです。

 

 

Santirade KadchadakumさんとSuprawat Nammuengさんのインスタグラム・ストーリー投稿によると、100年ほど前チェンマイに在住していた日本人女性の服装を参考にしたそうです。

右のSuprawat Nammuengさんの投稿を訳してみましょう。

storyline衣装(の解説)はまずは支配人から。多くの人が好きな私達の立派な人。

100年以上前の写真から一生懸命に再現したよ。
着物とパーシンが合うか、やっぱり賭けだった。着たら見た目が大丈夫か。fittingの日が来たらとても美しかった。
チームのみんなが気に入った。それで#cgm48ジャスミン MVに映っているとおりの出来栄えになった。

REFERENCE
Mタナカ氏の写真
チェンマイで最初期の写真館を開いた日本人写真家(グリン・ガーサローン(※TVドラマ名)で観たことのある人がいたら同一人物)

 

なんとこれまた100年前の実際にあった着こなしを再現した衣装でした。

Santirade Kadchadakumさんの投稿の方にフルネームがありますが、Mタナカ氏とは田中盛之助さん(1875-1961年)のことです。
1911(明治44)年頃にチェンマイで外国人による初の写真館を開いた鹿児島県出身の日本人で、当時チェンマイで知らない人がいないほど有名でした。昔の北タイを舞台にしたTVドラマにも登場するぐらいですから今でも名が知られているのでしょうね。

伊豆田さんの衣装デザインの参考になった写真は、田中盛之助さんがピン川のナタワット橋すぐの川沿いで営業していた写真館「CHIANGMAI PHOTO STUDIO」で撮影されたものでしょう。

太平洋戦争時、田中さんは在タイ日本公使館付陸軍武官が接触してきたことがきっかけで、インパール作戦のための道路(白骨街道)建設ルート調査に当たってもいます。田中さんについては『シャムの日本人写真師』めこん,1992年が詳しいので興味がある方にはオススメです。

1945年、日本の敗戦で在タイ日本人の全民間人はノンタブリー県に設けられたバンブアトーン収容所に1年近く収容され(目的は華僑による襲撃から守るためとも)、田中盛之助さんも収容されたのですが、同じ収容所には子供時代のあの浅丘ルリ子さんもいました。2人は顔を合わせていたかもしれませんね。

伊豆田さんが凛々しい姿で叩く太鼓は「グローン・サバットチャイ」(กลองสะบัดชัย 勝利太鼓)と呼ばれ、昔から北タイで軍隊が周辺国との戦争に出陣する際に縁起担ぎで叩かれていたのがタイ舞踊に取り入れられたものです。

昔タイへと渡って苦労をしながらタイの社会に溶け込んだ日本人の方々が偲ばれるデザインの衣装を纏い、勝利太鼓を叩く伊豆田さんの姿を見ていると、自然と元気が湧いてくる気がしませんか?

なお勝利太鼓の舞いには銅鑼とシンバルがセットとなります。

その銅鑼をPunchとMilkが、シンバルをPepoとPingが担当しています。

 

勝利太鼓の舞いのほか、このシーンには3つの北タイ伝統の舞いが登場しています。

これは「花椀の舞い」。お椀か高坏に入れた花を頭の高さで撒きながら踊ります。
Kaning, Marmink, Fortuneが担当。

 

 

これは「爪の舞い」で、親指以外の指に8インチの長さの付け爪をして舞います。
Aom, Champoo, Angel, Phim, Nena, Jaydaが担当しています。

 

 

最後は「キンカラーの舞い」。キンカラーとは姿が半人半鳥の神「緊那羅」(キンナラ)のことで、孔雀の羽に見立てた傘状のものを腰に付けて踊る、北タイ少数民族タイヤイ族の舞踊です。
SitaとNenieが担当しています。

 

これらコスチューム・デザインからは北タイ文化・日本文化双方への深い愛情と敬意が感じられて、MVを大変深みのあるものにしていますよね。担当したお2人を称賛したいと思います。