PRETZELLE(プレッツェル)という4人組ガールグループの新曲『トンチョープケーナイ (FIRST LOVE)』(ต้องชอบแค่ไหน どれだけ好きにならなきゃいけないの?)のMVが日本時間2月8日21:00にYouTubeで公開されていましたが、2月14日14:46に再生回数が100万回を突破しました。




 

公開から5日17時間46分ほどでの100万回達成です。

1月8日公開のBNK48 3rdアルバム・タイトル曲『ワロタピーポー』のMVが100万回達成に要した6日8時間1分より速い記録です。
参照:BNK48『ワロタピーポー』MV 100万回再生を6日8時間で達成

PRETZELLEはデビューが2020年1月31日と結成から日の浅いグループ。
参照:【PRETZELLE】タイのアイドル&ガール・グループ紹介(3)
投資額もBNK48に遠く及ばないはずにもかかわらず、BNK48に勝ってしまいました。

 

最近人気のRedSpinも、1月27日に公開した6thシングル『ソート・ウォーイ!! (Just Break Up)』(โสดเว้ย!! 恋人いないぜ!!)のMVが僅か1日19時間で100万回再生を達成しています。

参照:【RedSpin】タイのアイドル&ガール・グループ紹介(2)




また元メンバーのNatherine Dusitaのソロデビュー曲『ジープゴーン・ピットマイ』(จีบก่อนผิดไหม 先に口説くのは間違ってる?)のMVも公開の2020年11月23日から僅か1日2時間23分で100万回を達成していました。

参照:元BNK48ナタリーン、ソロデビュー曲のMV 100万回再生を26時間23分で達成

 

こうしてヒット曲とBNK48の楽曲を比較してみると、BNK48はタイの音楽シーンでの流行から取り残されたように見えませんか?

最近タイのSNSでは「T-POP」という言葉が流行りのようによく流れています。音楽番組名にも最近使用されているほどで、「T-POP」がちょっとしたブームになっていることが分かります。

ここでいう「T-POP」はLYRAが掲げた、K-POPや洋楽のトレンド最先端にタイ伝統楽器の音色を挿入したもののことではなく、従来からあるタイポップスのことです。

上で紹介したヒット曲はどれもタイポップスなのです。ロックやダンスポップ、K-POP、シティポップのテイストを取り入れていても、しっかりとタイポップスに落とし込んであります。




タイポップスの特徴は何なのかというと、恥ずかしながら音楽の知識を持ち合わせていない筆者にも漠然としたイメージしかなく、説明できません。
しかし言語面で音声学的に捉えるなら、多少のヒントは提示できます。

サビの部分にカギがありそうです。
タイポップスは、タイ語の音感に合わせてタイ人が口ずさみたくなるようにサビが作られている楽曲なのではないでしょうか。

例えばPRETZELLEの『トンチョープケーナイ (FIRST LOVE)』のサビで目立つフレーズ2か所を見てみましょう。
タイ文字、カタカナ発音、国際音声記号(IPA)、声調のイメージの順で表記します。

  • ต้องชอบแค่ไหน
    トンチョープケーナイ
    tɔ̂ŋ chɔ̂ɔp khɛ̂ɛ nǎy
    \ \ \ ∨

  • ให้เธอเป็นจักรวาลที่มีฉันอยู่
    ハイトゥーペンジャックラワーンティーミーチャンユー
    hây thəə pen càkrawaan thîi mii chán yùu
    \ - - \ - - \ - / _

 

RedSpinの代表的な曲『フェーン・ナイアナーコット (Tie Me Up)』(แฟนในอนาคต)のサビで目立つフレーズは、

  • หนูเป็นคนวางแพลน พี่คือแฟนในอนาคต
    ヌーペンコンワーンプレーン ピークーフェーンナイアナーコット
    nǔu pen khon waaŋ phlɛɛn phîi khɯɯ fɛɛn nay ʔanaakhót
    ∨ - - - - \ - - - - - 

 

Natherine Dusitaの『ジープゴーン・ピットマイ』のサビで目立つフレーズも

  • จีบก่อนผิดไหม เธอจะรู้ตัวก่อนไหม ถ้าฉันชอบเธอก่อน
    ジープゴーンピッマイ トゥージャルートゥアゴーンマイ ターチャンチョープトゥーゴーン
    cìip kɔ̀ɔn phìt máy  thəə cà rúu tua kɔ̀ɔ máy  thâa chán chɔ̂ɔp thəə kɔ̀ɔn
    _ _ _ / - _ / - _ / \ / \ - _

…といった感じになります。

各フレーズの4行目に表した声調(アクセント)の上下のイメージに注目してください。
どれも上下上下にぐわんぐわんとアクセントが波打っていますよね。

筆者はこれがタイポップスの特徴で、ヒットするかどうかに大きく関わっている点だと見ています。
サビでのアクセントの上下上下のうねりが、まるで演歌のこぶしのような感じで口ずさむと陶酔できるからではないでしょうか。




タイ語には声調があるからアクセントが上下して当たり前だと思うかもしれませんが、多くの曲では意図してサビに上から下へ、下から上への波を配置しているように感じます。

比較にBNK48『ワロタピーポー』のサビを見てみると、

  • Warota Warota Warota Warota People
    ワロタワロタワロタ ワロタピーポー
    wàrota wàrota wàrota  wàrota pì ʔi poo
    _ - - _ - - _ - -  _ - - _ - 

差は一目瞭然。多少の上下はありますが、下声、高声、上声のうねりがないのです。
これではアクセントのグルーヴを楽しめません。

この点がBNK48の曲が人気の出ない理由の一つに思えます。

高いか低いか2とおりのアクセントだけの日本語にはタイ語のような豊かな声調がないので、そのままではタイ人にはつまらないのかもしれません。

かつてヒットしたBNK48の『恋するフォーチュンクッキー』はサビが日本語ではないかと思うかもしれませんが、タイ人がよく口ずさむのは「Koisuru Fortune Cookie」の部分ではなく次の2か所です。

  • แอบมองเธออยู่นะจ๊ะ แต่เธอไม่รู้บ้างเลย
    エープモーントゥーユーナジャ テートゥーマイルーバーンルーイ
    ʔɛ̀ɛp mɔɔŋ thəə yùu ná cá tɛ̀ɛ thəə mây rúu bâaŋ ləəy
    _ - - _ / / _ - \ / \ -

 

  • ให้คุกกี้ทำนายกัน
    ハイクッキータムナーイガン
    hây khúkkîi thamnaay kan
    \ / \ - - -

 

BNK48にしろCGM48にしろ日本の48グループの楽曲をシングルにして出す際、日本語フレーズをどうしても入れたいならサビ以外の部分に入れるか、サビのごく一部分だけにとどめる工夫をした方が、タイポップスに近づいてヒットを望める可能性が高まり良さそうです。

さらに声調のうねりを入れたサビ部分の振り付けを、女子高生達が思わず踊ってみた動画を撮ってTikTokに投稿したくなるような踊りやすく印象に残るものにすればさらにヒットの可能性が高まるように思います。