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フリーマガジン『DONT Magazine 2017年11月号』(11月10日発行)にBNK48のMobileのインタビュー記事が掲載されていました。
リンク先の左下スケールで24-25頁に掲載されています。

既に3rdシングルの選抜メンバーが発表になり機会を逸した感がなくもないのですが、なかなか良い記事なので日本語訳をしました。

 

読者のあなたが彼女らのファンであるか否かを問わず、今年BNK48の名前や聞き慣れない言葉、例えば「センバツ(選抜)」「センター」「水槽」「オシ(推し)」などや、歌「恋するフォーチュンクッキー」をfacebookのニュースフィードやSNSで見聞きしたことがあるはずだ。

BNK48は日本で10年以上活動する有名アイドルグループAKB48の成功を受け拠点を拡大した姉妹グループだ。AKB48はさらにインドネシア、台湾、フィリピンへと拠点を拡大していて、タイもその中に含まれている。既存の女性グループとAKB48の違いは、「会いに行けるアイドル」という位置付けにある。彼女らは劇場で公演活動を行う。タイにおいては現時点ではBNK48 Digital Live Studio(ファンはみな「水槽」と呼ぶ)、テレビでの番組放送、写真や動画を投稿するSNSがあり、それらを通してファン層拡大のために才能を披露している。

BNK48のモデルは、タイ人にとってはまだあまり広く理解され馴染みがあるものではないかもしれない。なぜならこのグループはタイ人が知っているその他の女性グループとはシステムやモデルが異なるからだ。グループにおけるメンバーの選抜にはランクがあり、例えばアンダーガールは補欠メンバーで、選抜は各シングルの構成メンバーとして選ばれる。センターはもっとも目立つポジションに立つメンバーで、ライブステージやMVで中央に立つ。その他、初心者ファンが覚えなければならない専門用語やシステムが結構ある。

BNK48の誕生は、音楽業界が寂れ、人はストリーミングやYouTubeで楽曲を聴き、アーティストのCDやフルアルバムが滅多に出ない時代において、音楽を聴くタイ人に質問を投げかける。一方の側は、有名になったのは「新し物好き」の一時的流行に過ぎず、何年も続かないと見る。もう一方の側は、BNK48は新たな希望であり、従来の一般的な他のグループと異なるセールスポイントでもってタイの音楽業界をさらに先まで押し上げ続けることのできる未来像であると見る。

モバイル-ピムラパット・パドゥンワッタナチョークは15歳の少女で、BNK48のメンバーだ。もしかしたら「中の人」として我々に答えを出してくれるかもしれない。彼女はこの件についてどのような考えを持っているのだろうか。

モバイルが飛躍したタイミングは、実に興味深い。シングル『恋するフォーチュンクッキー』で、彼女はそれまでグループ内でほとんど注目されなかったのが、突然アンダーガールの立場から初のセンターと選抜に登りつめたのだ。そのためこの2‐3か月、彼女はマスコミとファンから非常に注目を集めた。
「嬉しさと驚きが入り混じった気持ちです。以前はアンダーガールで選抜ではなかったので、選抜になれただけでも満足なことなのに、センターにまで飛び上がって責任が増しました。」

新たなセンターは、選ばれた感想を語った。彼女はメインボーカルに選ばれた理由を曲と自分が似ているからだと思っていると。
「私のキャラクターと曲はかなり関係があるんです。歌詞の意味は、一人の恋する女の子がいて、でも自分にあまり自信がない。というのは自分は美人じゃないから。それでフォーチュンクッキーを使って好きな人に告白する運試しをするんです。他の人ほど顔が可愛くないけど自分を磨いた私と似ています。」

モバイルは日本カルチャーとともに育った普通の女の子と変わりはない。彼女はアニメを見て、趣味はカバーダンスとJ-Popを聴くことだ。
「子供の頃はディズニー・アニメと日本のアニメを見るのが好きな子でした。好きなアイドルは日本人の大原櫻子さんで、ドラマも見ました。ドラマの中でこの方は主役でした。声に個性があるのがいいです。私も澄んだ声が好きですが、彼女には力があるんです。」彼女はBNK48メンバーのオーディションに応募して夢に向かって歩くことにしたきっかけを語った。

会いに行けるアイドルとは言え、AKB48といったオリジナルのグループには規則が少なくない。イメージを守ることやSNS使用における注意、恋愛禁止、さらには厳格なレッスン・スケジュールといったどれと取っても、違反した者には処罰が下される。そういった規則がBNK48にも適用されている。例えば4人のメンバーがある規則に違反したためにステージでアンダーガール、つまり後列でのパフォーマンス担当に格下げされた。
「これまでもAKB48をある程度は知っていたので、気が重いということはありません。あまり難しいことではないです。普通は同じ規則を使っていますし、タイと日本の文化もかなり似ています。規則を少し変更したのかもしれませんが、私達はほぼ受け容れられています。」
彼女は付け加えて、もし外で彼女に遭遇したとしても、彼女の写真を撮ることはできないと語った。
「タイ人なら、もし大好きなアーティストがいたら写真を撮らせてもらいますが、私達の規則では写真撮影はできません。でもイベントで複数人での活動の際に会った場合には、撮影できます。」

知ってのとおりBNK48の各シングルでは、前列メンバーの変更がある。今回のシングルで目立った人が次のシングルでは役目無しということもありうる。全てはファンからの人気度で測られる。最新シングルの選抜とセンターの立場でモバイルは、やる気を失くしたことがあったことを明らかにした。
「挫折を感じたことがあります。選抜に選ばれなかった時、とても悲しかったです。私はできるのになんで選ばれないのかと。それでちょっと荒れました(笑)。」

フロントに立つ役割が自分のものにならなかった日、どのように考えたのかを彼女に尋ねた。
「以前は毎日歌のレッスンとダンスレッスンをしていました。自分が選抜に入れなくて、ちょっと投げ出したような感じになっていました。そこで自分の好きなことは何かをもう一度考え直したんです。わかったのは、歌が好き、ダンスが好き、芸能界が好きということ。それなのになんで私はまだこんなところにしかいられないのか。それで考えを新たにして、歌の練習、ダンスの練習、全ての練習を今までよりもっと良くすれば、もし私がそれらをできれば、いつかは選ばれると考えました。」

挫折を感じても、後戻りは自分の選ぶ道ではないとモバイルは言う。
「挫折を感じたことがある…。でも後戻りは絶対にしない。努力は必ず報われるものですから。かつての挫折が私をより頑張らせるようになりました。その結果が今日の私の姿です。先日センターに選ばれたと発表がありましたが、その時から練習を始めました。というのも、できるかどうか、撤回されないか、逆に目立ちすぎないか、私はアレンジしすぎてないかと心配だったからです。それで、このポーズはこうしなければいけないよと自分で自分にプレッシャーをかけて挫折を感じました。でも以前のように考えを戻したんです。自分らしくするのが一番だと。今では私はもう心配していません。」

筆者の目の前に座っている女の子は、プレッシャーへの対処法を良く実践できているように見える。たとえ彼女が次のシングルのセンターに立っていないとしても。
「気は重くありません。それぞれの歌のセンターには楽曲に相応しいキャラクターというものがあるからです。きっとそれが今回の曲で私がセンターに選ばれた理由でもあるのかもしれません。次の曲は私に相応しくないかもしれないし、他の人の方が相応しいかもしれません。」

過去から現在までに誕生したタイの女性グループは、人気があるのは一時的で、しばらくするとファンの関心の前からことごとく姿を消してきた。モバイルから見るとBNK48のセールスポイントは、タイの他の女性グループと異なっている。それと言うのも各メンバーのキャラクターも頑張る姿も売りにしているからだ。そのスタイルはリアリティー番組『The Star』や『Academy Fantasia』の出演アーティストを応援するのと似ている。各人のゼロから広くタイ人の心を掴む歌を歌う日までの進歩を目のあたりにすることのできる番組だ。
アイドルの特徴は、作品ではないかもしれないし、拍手したくなるほど上手な歌や注目を集める巧みなダンスではないかもしれない。しかし各人のストーリー、個性、キャラクターやファンに見せる可愛さと明るさにあるのだ。ファンは「金払い」で支援し、グループの活動を応援する。それは数量限定のグッズのかたちであったり、好きなアイドルに近付けるチャンスを設ける「握手」イベント参加券であったり、はたまた次回のメンバー選抜選挙で実際にポジションへ押し上げる権利-買えば買うほど数量に応じてチャンスが増える-でさえあったりする。
「私達のグループはキャラクターを売っているんです。全部で29人いて、みなそれぞれが違っています。BNK48はメンバーの一生懸命さを売っています。加入した時みんなは全くゼロから始めました。どんどん進歩していき、歌を歌えなかった人も歌えるようになり、ダンスができなかった人も上手になりました。」

オリジナルのグループであるAKB48の成功までの歩みを見ると、成功の達成までに紆余曲折があった。ファンを獲得するまでに相応の年月がかかっている。様々な場所でステージに立ち、本当に多くの民衆に受け入れられるまでに5年以上を費やした。BNK48は始まってからいくらも経っていないが、満足できる反応を既に得ている。さらに将来のマーケティング計画、例えばグループ・メンバーの活動を披露するための劇場オープン、本格的なMVでの楽曲プロモーションによるファン層拡大なども加わる。芸能界における活動も続き、ライブ放送や各メンバーのSNSといった引き続き行われる活動も視聴者やフォロワーが徐々に増えていることは、注目すべきことだ。もしかすると、それらはBNK48を他の女性グループよりも長続きさせる道なのかもしれない。

「みんなはそれぞれ他の流れを生み出すことができます。アニメ声優が好きな人はアニメ声優の仕事をできるかもしれません。MCが好きな人は様々な番組で司会をできるかもしれません。そういったことでいつ私達を見ても飽きることはありません。今後2期生、3期生が入ってきます。勢いが増すかもしれませんし、きっと一層長く続くことができると思います。」15歳のタイ人アイドルは自信を持って語った。

最後の質問を投げかけた。一番高いところにある夢は何か。
「沢山あります。ソロ歌手にいつかなってみたいです。雑誌撮影モデルになりたいです。アニメ声優になりたいです。」モバイルは恥ずかしがったが、しかし彼女の瞳は実に自信に満ちていた。